行きたいから行ってみた、ではだめですか?
思い起こしてみますと、貯金はあったものの、私はどうやって稼いでいくか将来を全く考えないままにアメリカに行きました。
なにせとにかくポートランドに住んでみたかったんです。
そしてそのときは本気で自然療法を学びたいと思っていたんです。
それだけでした。
やってみたいと思ったらやらずにはいられない性格です。人がなんと言おうとやります。
そして、自分が行きたくて行ったので、住みたくて住んでいるので、困ったら日本に帰ればいいかと思いつつも、心の奥底ではここにいるためなら手段を問わないという意気込みでもありました(もちろん悪いことはしません)。
長くいたいとなったら、言葉がまともにできないけれどお金を稼ぐ必要があるなとも思っていました。
お金を稼ぐという点において自分は底辺にいると思っていました。路上生活をしている人のほうがよっぽど稼ぎ力があるやんと思ってました。言葉は何よりもまず基本だと思っていたからです。
そんな中、友達の紹介でベトナム人男性が経営する、
寿司にうどんに冷凍の肉まんに、もちろんベトナム料理も!と、
なんでもかんでも売ってるフードカート(屋台みたいなやつ)で働けることになりました。(もちろんビザ的には違法です。)
当時の私の英語はひどいもんでした。
お客さんが言ったことがわからず、オーナーにきくことが何度もありました。
でも生春巻きをつくったり、バーンミーをつくったりしてお客さんと接するすることが楽しかった。
わぁ、私アメリカで生活してるよ!ってワクワクしました(笑)
大量の粉わさびを水で溶いてストックしたり、
しじみの味噌汁の素を溶いたものを「すみませんね、こんなんで」と思いながら、2ドルで売ったりしてました。
仕事が終わるとグッドウィルっていうみんながいらないものを回収して売っている店に通ってました。特に買いたいものがなくてもそこに行って楽しんでいました。元が不用品なので安いんです。
グッドウィル本部では無料の英語クラスも一般の方に提供していて、中年から高齢の方々が参加されていて、語学学校と違う生徒層も新鮮でした。
移動は自転車でした。春夏はとにかく気候がすばらしくて、お花が咲いて緑がわっさわっさしていてきれいで気持ちよかった。
あ、話が逸れたので戻します。
そう、自然療法士になりたかったんです。アメリカでは国家資格です。資格を取るために学校に行く必要があります。
ある日ポートランドで私が行きたいと思っていた自然療法士の学校を卒業し、ご自身のクリニックを営んでいらっしゃる日本人女性とお話する機会を得ました。
これもまた、別のお友達の紹介です。ありがとう!
彼女は自身がひどいアトピーに長年悩まされ、治療のために良さそうなことはなんでもやったと。アーユルヴェーダーなどの代替医療も含めてです。
それでも完治しなくて、これは自分で治すしかないと思ったそうです。
それで、かゆみで皮膚が血だらけになったりもしながら、広告代理店で働きつづけ、お金をためて学校に行く資金をつくったそうです。
その学校の費用を調べてみたら2000万円くらいするんですよ。
そして最低でも6年くらいかかりそうだということもわかりました。
6年間。2000万円。
この数字は私の肩に重くのしかかりました。
そもそもアメリカの大学の学位がないので、自然療法士の学校に行く前に大学の単位をとる必要があることもわかりました。
すべてアメリカ行く前に調べろよ!っていうことばっかりなんですが、とにかく行ってみてわかりました。
さらに、なんとかがんばって資格をとれたとしても、日本ではこの資格は使えないということもわかりました。そりゃそうですよね。日本には自然療法士という国家資格が存在していないんだもん。
さあ、どうしたもんかと考えました。
とにかく自然療法士になるための学校に見学にいきました。1日見学ツアーです。
学校には病院も併設されていたので、実際の診察室もみることができました。
見学させてもらったあとに、その診察室で自分が白衣を着て診察している姿を思い浮かべてみました。
そして、ゾッとしたんです。
患者さんを問診して診断する自分を想像して、恐ろしくなりました。
人の命を預かるということを具体的に想像して、心底ゾッとしたんです。
私は東京で働いていたとき、仕事で精神的に追い込まれたときには
「失敗したって誰も死なないから大丈夫」
と自分を安心させていたんです。
それが!この仕事は、失敗したら人が死ぬかもしれないんです。
これはいかん。これを私がやってはいかん。
そう思いました。
場を具体的にイメージするって大事なんだと改めて思いました。
そこで働いている自分をイメージして楽しい気持ちになるかどうか。
この想像をせずに、お給料とか福利厚生とか、会社の名前とかで選んで働き始めて、
肌に合わず、すぐやめた会社あったなあ。なんて思ったりしました。
ということで、自然療法士になるという私のポートランドでの目的は半ば消滅状態でした。
どうしよう。
とりあえず英語だけは上達させなければ、とがんばっていました。
そんなある日、友達からお茶屋さんの手伝いをしないか?と誘われました。
やる!と一つ返事でお手伝いを始めました。
ティーバッグをつくったり(手でつくるんですよ)、お茶を袋につめたり、といった仕事が主でした。内職的な。
オーナーはカリフォルニア出身の元フードライターでとっても素敵な女性でした。
ホームパーティーをよくお宅で開くような社交的な方で、お店にもしょっちゅう友達が遊びにきて仕事どころではない日がたくさんありました。
サロンってこんな感じの場所のことかな、なんて思ったりしてました。
彼女からはいろんなことを学びました。
お料理、おもてなし、インテリア、お花の活け方、ヨガ、ファッション、ファーマーズマーケットでの食材の選び方、などなど。
かわいくて、優しくて、センスがよくて、おっちょこちょいでとってもチャーミング。
彼女のお友達も素敵な人ばかりでした。旦那さんや息子さんとも仲良くなりました。
家族のように私のことを迎え入れてくれました。
彼らが旅行で留守の間は寝泊まりして猫の世話もしてました。
そう、今のベルリンの私の状況と同じなんです。
今友達の家(一軒家、庭付き)に一人で住んでいます。彼女の猫の世話のために。
ここがめちゃくちゃいい家なんです。庭には果物が何種類もなっていて、プールもサウナもあるんです。
私はなぜか住むところには困らないんです。
ポートランドで大家さんともめて家を出たときは、お友達夫婦の家にお世話になりました。
2ヶ月くらい。すごく楽しかった。ごはん作ったり、一緒にでかけたり。
その後、お茶屋さんのお友達のモダンなマンションにも長く住まわせてもらいました。
NYで暮らしをしていた独身女性の素敵な家です。おしゃれなインテリア雑誌にでてきそうなモダンさ。
二人でネットフリックスをみたり、ジムにいったりこれまたすごく楽しかった。
きれい好きな人でいつも掃除をしてたけど、うるさいことを言われたことは一切なかった。美人で寛容な優しい年上の女性。
この2人の年上女性との出会いのおかげで、私はポートランドがもっともっと好きになりました。
2019年の秋にベルリンから帰国したときは、東京都内の分譲マンションに一人で住まわせてもらったこともあります。しかもタダ!それも友達の幼馴染で今つかってないからいいよって。
ラッキーとしか言いようがありません。
彼女にはさすがにタダでは申し訳ないと、彼女のお店のホームページをつくってあげることにしました。そしたら後日、更新とか管理とかしてほしいから毎月お金を払いたいと言われ、断ったんですが、そのほうが気が楽だからって毎月支払ってもらうようになりました。
無料の仕事が毎月の収入に!
と話がいろんなところに飛んでしまったのですが、こんなうまい話あるわけないよ。
とか、私は特別運がいいんじゃないか、と思った方。
違います。
あなたの強みや取り柄はなんですか?
と誰かに聞かれたら私はこう答えます。
「勢いと笑顔。」
とにかくやると決めたら早いです。さっさと行動します。
そして「君は笑顔がいい!」と何度も人に言われました。
楽しそうでいいと。
最近、坂口恭平さんの「お金の学校」を読んでこの取り柄のおかげだったのだとすっと理解できました。
取り柄と思っていたけど、単純に流れにのっているだけなんです。
笑顔は楽しいからです。
早いのは今起こしてたその行動が流れに乗ってるからです。
「お金の学校」はもう腑に落ちることしか書いてなくて、こんな本をだしてくださってありがとうございます!と心から思いました。
お金がいくら儲かるとか、そんなこと考えもせずに、
喜んでもらえることって何かな?
楽しそうだからやってみよう!
と始めたことってだいたいうまくいくんです。
そういうときはとにかくどんどん流れていきます。
あと、不安だからやめとこう。とやめれるくらいなら、やらないほうがいいということかも
と思ったりもします。
本当にやりたいことは誰に何を言われようと止められないものではないでしょうか?
時間がかかったとしても、そのやりたい気持が消え失せなければ、結局人は行動をするんじゃないでしょうか?
そんなこと言ってる私ですが、負のスパイラルに陥ってしまうこともよくあります。
そういうときは美味しいものを食べたり、走ったり、自然の中にいって過ごして、すこしずつ元気を取り戻します。
そうすると、
どうしてやりたくもないことをやらないといけないと思いこんでいたんだろうか。
やりたくもないことを必死にがんばっていたんだろうか。
そんなのうまくいきっこないのに、、、
ということに気が付きます。
楽しそうにしている人を人は応援したくなるし、
自分も楽しいから続けられます。
説得力も出ますよね。
行きたいから、楽しいから!
それでアクション起こしてみようっていうお話でした。